2014年まとめ(読んだ海外マンガ等)

2014年のまとめです。
今年は海外マンガ、特にバンドデシネに関係した事しかやってませんでした。ほんとにそれしかありません。むしろ日本語の本すら読んでないという有様です

その分読んだバンドデシネ等の冊数はすさまじい事になり、およそ100冊ほどに達しています。この量は自分でもマジキチじみていると思う

【海外マンガ関連の諸々】
アングレーム国際漫画祭行きました。 ついでに僕が仏語学習を始めるきっかけになった作品”Celle que…”シリーズの作者VANYDAさんから直筆イラストとサインを頂いてきました。

VANYDA2
記事:(1)会場  (2)展示外観  (3)物販ブース  (4)企画展示 (5)非公式展示

togetterまとめ

【フランス語関連】
1年間バンドデシネ読書に集中しきった結果、もう完全に「フランス語が読める」と言って良いレベルに達したと自負してます。なお話す方と書く方は依然大した事ないもよう

現在は某語学学校で上級クラス履修中、仏検は2級を取得。準1級も多分いけるくらいだと思いますが、11月は引っ越し時期と被った為、一旦来年に見送ることにしました

【創作関係】
なんもしてないです。1月に辛うじてPaperChildを1件撮ったのみ。週末には仏語授業出席→図書室でバンドデシネ読む、という生活を続けていた為、他になにもしなかったんです マジで何もしてません

Chou

***
今年読んで印象に残った小説・漫画などリストです。今年は日本語の本すら全然読んでない。

【小説と漫画(日本)】全然読んでない。文字通り本当に読んでないのです
村山早紀 「その本の物語」 (小説)
つばな「第七女子会彷徨」 (漫画)
つばな「バベルの図書館」 (漫画)

【海外漫画】
togetterにまとめていますのでそちらもどうぞ↓
2014年上半期 (1) (2)
2014年下半期 (1) (2)

[英語]
Bryan Lee O’Malley “Seconds”
スコットピルグリムの作者の新作。失敗を無かったことに出来る不思議な力を得た主人公が、些細なズレを修正する度に世界を歪ませる…という話

名称未設定アートワーク hazel

ファンアートも描いた。Bryan Lee O’Malleyのキャラは可愛い。

Cory Doctorow, Jeng Wang “IN REAL LIFE”
MMO-RPGを扱った作品。ゲーム内資源の現金化をする”ゴールドファーミング”、またリアルの格差と貧困、不公平の話です。ゲーム内登場人物の物語ではなく、あくまでキャラの後ろにリアルの人と生活がある、という描かれ方をしているのが特徴的。

David Petersen “Mouse Guard -Baldwin The Brave and other tales”
Mouse Guardシリーズのボーナストラック的な1冊。メインキャラクタ達がヒーローになる前の少年少女だった時のエピソードを、「子供が過去の英雄の話を聞く」かたちで描いた作品。ファンにとってはたまらん

Kate Brown “Fish + Chocolate”
母親と子供をテーマに、特に子供の身の安全を保つ事、母としての役割と自分自身の人生の対立を描いた重い作品。イギリスのグラフィックノベルです

[仏語] 多すぎて紹介しきれない! 特に好きなのだけピックアップします
VANYDA”Un petit goût de noisette”
恋と愛を語る12の短いストーリーを集めた短編集。絵が良いです。 各編、白黒の漫画ぽいスタイルにそれぞれ一系統の色だけ加えられているのが特徴です

VANYDA “L’immeuble d’en face”
小さなアパートに住む三組の住人、若いカップル、倦怠期の熟年夫婦、シングルマザーと子供の、交わるようで交わらない日常を静かに描いた作品。大きな事件は起こらないけど人生が少しずつ変わる(進歩、成長、変化、後退、老化)する様をあっさり描写しています。これも絵が良い

Jenny”Sara et les contes perdus”
フランス産魔法少女! とあるきっかけから現実世界を侵攻しはじめたおとぎ話のキャラクター達を元に戻すために戦うサラちゃん15歳の物語です。戦闘というか負傷描写が割とガチで、流血/打撲/精神攻撃の描かれかたが結構えぐい。無慈悲な精神攻撃と暴力に耐えステゴロ上等の物理攻撃をかます魔法少女サラちゃんが見所です。ちゃんと「魔法少女」ならではのテーマを扱っているのも見所です

Dauviller, D’Aviau  “Inès”
DVを描いたBD。ひたすら妻が夫に追い詰められる様を描いており、大分読後感が悪いですが、絵の迫力がとにかく凄い。身につまされる。

Joris Chamblain, Aurélie Neyret “Les carnets de Cerise”
いつか小説家になりたいと思い、街で出会った人を観察しては、その人の”秘密”を半分空想で考えるのが好きな女の子の話。その”秘密”を興味本位で取材していくうち、人の心の機微を感じていく作品です。 絵が綺麗&仏語が平易&いい話、と素晴らしい要素満載 とにかく人に勧めやすい

Guilhem, Janssens, Cesano “Zarla”
ドラゴンハンターの家系に生まれた女の子Zarlaちゃんと、変身能力を持った猟犬Hydromel(イドロメル)が失踪した両親の代わりに冒険に出る話。 Zarlaちゃんの蛮勇ぶりが可愛い&イドロメルの無慈悲な強さと裏腹の優しさが楽しい。世界観はかなり練られているようで、ドラゴンや空想上の生物を産業に活かしている描写が多いのも良い

Stan Sillas “La vie de Norman”
サイコパス基地外殺人鬼の小学生Norman君と、彼の悲運なクラスメイト達の殺戮な日常を描いた、ほのぼのしたスプラッタホラ-コメディ。なんだそれは とにかく人の命が軽い。化け物に追い詰められた状況で赤ん坊が泣き出した。どうする?→殺す。 こんな感じ

Jean-François Kieffer”Les aventures de Loupio”
キリスト教BDで、聖書の一節を下敷きにした話です。中世イタリアの有名な聖人”アッシジの聖フランチェスコ”の逸話を引いている。「狼を諭して住民と和解させた」逸話があり、その狼を従えた孤児を主人公に置いた寓話形式

Snitselaar, Alexandre” Petites histoires de notre (grande) Histoire”
マンガでみるフランスの歴史中世編。可愛い絵で中世フランスの風俗を学べる学習漫画。 「尿で口をゆすぐ」とか信じられん説明があって楽しすぎる

Algésiras, Aurore “Elinor Jones”
ビクトリア朝時代の英国、ファッション界の名家、とその裏側で繰り広げられる権謀術数を舞台にした話。主人公Elinorはそこに勤めに出て来た新人。んで意地悪されたり何だり。キャラが可愛く服装も美麗ですがそこはテーマではない。 見かけに反して重いストーリー

Gauthier, Almanza “Cœur de pierre”
石の心臓を持って生まれた男の子と、アザミの花の心臓を持って生まれた女の子のちょっとした恋の話
に見せかけた言葉遊び満載の詩的なメルヘン。Cœurは心臓、心の意味で、それに関する慣用句・熟語の直訳を体現したキャラクター達が出てきて、慣用句通りの動作をしつつちゃんと正しい意味にまとめる、という離れ業をやってのけた作品。おすすめ

Sala, Chan “Cross Fire”
教義上の異端・異説に関わる史料を秘密裏に回収・解析する教会所属機関”Le Cabinet Noir”の活躍とバチカンの暗部との戦いを描く作品。 絵が良いんです。男も女もセクスィーで、それでいて仕草が愛嬌があって萌える

Dillies, Hautière “Abélard”
動物を擬人化したキャラクターの、ちょっと緩くのんびりした冒険…から、人生と世の中の理不尽、不条理、そして喜びを静かに深く抉る作品。人種差別、詐欺、不当な暴力、貧困、病、そして死、また夢と希望。 それらを主人公である無垢な青年Abélardがひとつひとつ身に受けていく。 極めて重いですが、最後のシーンを見たあとの読後感は悪くない。

ENNA, LEFÈVRE “Susine et le dormeveil”
空想(?)上の、覚醒と睡眠の狭間にあるという異世界Dormeveilを旅する少女の話。シュールレアリスムな世界とキャラ達が繰り広げる、不条理なおとぎ話。 多分この世界は少女の深層心理を反映している風の描写が多々。

Élodie Durand “La Parenthèse”
脳腫瘍を患った経験のある作者が、病前病後・治療中の記録を振り返り書いたノンフィクション作品。とても内省的で、病気によって自分の内側に制御できない何かがある違和感、自分の一部が機能しなくなってしまう事への不安、焦り、恐怖に満ちています。 最近出た「死んで生き返りました れぽ」に方向性は近い?かも。

AHONEN, ALARE “Perkeros”
フィンランド人作家の作品の仏訳。冴えないバンドのリーダーが、偶然にも物理や精神も操る音楽の力に偶然触れてしまう話。音楽が力を得る瞬間のビジュアル表現が面白い。幾分ファンタジー的要素あり。 英訳版が“Sing no evil”という題で出版されてます

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今年読んだ量と同じくらいのバンドデシネを読めるのは、多分人生でもう二度と無いと思われます。100冊のうち殆どが過去に積んでおいて未消化だったものでした。1年で同じ量を集めることは、あまり現実的ではありません(無理ではないですが経済的に危ない)。

2014年は思い残す所ありません。なすべきことは全て為し、やりたいこともやりきりました。2015年はまた何か別の物事を見つけなければなぁ、と思っています

“Seconds”

Bryan Lee O’Malleyの新作”Seconds”が出ました。

2012年のサンディエゴコミコンでアナウンスがあったから、それから2年経っています。…時間が経つのは早いもんです。
当然買って、もう読みました。キャラも絵も可愛いし、日常のようでちょっと異常な語り口も健在で、実に面白かった。不思議な力のせいで少しずつ日常が狂っていく話で、どことなく藤子・F・不二雄のSF(すこし・ふしぎ)を連想する内容でした

Lis     hazel

キャラが可愛すぎて居ても立ってもいられず、珍しくファンアートなど2日連続で描いてしまったのです

読んだBD(等)の紹介はじめます

twitterの方ではボチボチ始めていますが、僕が読んだバンドデシネの紹介をしていきます。

http://togetter.com/li/689829
http://togetter.com/li/689839

2014年上半期に読んだ作品は、↑の通りtogetterでまとめてます。ブログの方にはもう少し詳しく書くつもりです。

アングレームとバンドデシネと俺

僕が何故バンドデシネに興味を持つに至り、漫画関係者でもないのにわざわざ私費でアングレームまで行ってきたのかは、一言ではなかなか言えません。一番始めに何となくバンドデシネを買ってみたのが2010年、そこから、読めるようになるためにダラダラとフランス語の勉強を始め、初めて1冊読み切れるようになったのが2012年半ばでした。さらに約1年半経過し、今回の渡仏に至ります。

http://www.editions-delcourt.fr/special/lapageblanche/
一番最初に読み切ったバンドデシネは. ペネロープ・バジュー作画の”La Page Blanche”でした。何回読み返したかわからない。

最初に買ったバンドデシネ(グラフィックノベル)は、同シリーズ全三巻を最後まで読み切ったのは結局2013年でした。

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左のが初めて買った本。右が、最近買ったやつ。作・画:VANYDA

VANYDA2
VANYDAさんに献辞を頂いた。名前はわざわざ漢字で書いてもらったのです。

最初にバンドデシネに触れてから今年のアングレーム国際漫画祭参加に至るまで、色々ありました。としか言えない。ともあれ、僕がフランス語を勉強する目的は、これで一区切り付いてしまいました。でも、何となくこれからも学習し続ける気がする。大分足りないところが多い。

言語は文化であり、言語を学ぶ事はその文化を知る事そのものである、と某語学学校での恩師N先生が言っていました。正直なところ、まだあまりその意味にピンと来ていない感じではあります。ただ、その言葉に従えば、僕はまだまだフランス語圏の文化であるバンドデシネを知るには至っていないと言えます。

言葉の問題もさりながら、今回アングレームに行ってみて感じたのは、改めて、僕の知らない世界があまりに広くあるという当たり前のことでした。まだまだ読みたくなるものが沢山ありそうです。来年また行くのはまず無理でしょうが、再来年か、その先か、いつか再び訪れるのが楽しみでならない。

あ、サンディエゴコミコンももう一回行きたい…金が、金が…

アングレーム国際漫画祭行ってきた(5)非公式展示ほか

アングレーム国際漫画祭に関する諸々を書いていきます。この記事でおしまいです。

公式プログラムにある企画展示、および出版社ブース等の他、同日程でアングレーム市内では漫画祭とは直接関係のない、いわば非公式の企画が組まれていました。関連のある内容という事で、併せて紹介します。

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アングレーム市内には、ヨーロッパの都市の例に外れず教会・聖堂があります。公式ではありませんが、それらの中でもバンドデシネに関する展示、および販売ブース、また著者のサインスペース等が設置されていました。

ここで”非公式”と書きましたが、より正確には「アングレーム・キリスト教漫画祭」の公式プログラムである…という事になります。

公式サイト
実の所僕も帰ってからちゃんと調べるまでよく解っていなかったのです。

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会場は、アングレーム市内の教会・聖堂全て。展示企画が組まれていたのは聖マティアル教会と聖堂がメインだったようです。流石に会場の雰囲気は凄く良い。写真は聖マティアル教会の方。

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バンドデシネのいちジャンルに「キリスト教BD」というのが明確にあるようです。キリスト教とその歴史・文化にかかる内容を描いたBDが対象になり、その中で年間のセレクションを選ぶ・・・と、国際漫画祭の方とにたような流れでグランプリを決めている?のかも。

写真は何かの企画展示、内容は近づいていないので不明です。衣装が可愛いから撮ったというだけでした。

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聖書に関係しそうなバンドデシネ・絵本等が多数そろっていました。この写真は個人的に気に入っています

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左:物販コーナー。豊富なラインナップです。だいたい全部キリスト教関連。うーん・・・知らない世界だ
右:同会場で、お絵かきワークショップのようなイベントをやっていました。結構人が集まってた。

教会のイベントは全体的に非常に真面目で、人がとても親切でした。

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教会内でも、作家がサインを受け付けてました。右に移っているのは、Jean-François Kiefferという作家の、「ジャネットとジョジョ」というタイトルのバンドデシネ。買って読みました。内容も絵も至ってシンプルですが、何というか非常に上手くまとまっていて極めて読みやすい。60年代のフランス・ムーズ県を舞台にして、画像のいたずら好きの姉弟(孤児)が色々冒険する話です。

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同じくサイン会場。会場と言うほどの規模ではないですが

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同じくアングレーム市内の、聖堂で行われていた展示です。”Les Pionniers du Nouveau Monde” というタイトルのバンドデシネを取り上げた企画が行われていました。 フランス人によるケベック入植を題材にしたバンドデシネだそうです。 読んでない。司祭?か何かの絵が掲示されており、展示板は羊皮紙を模しています。ちょっと洒落ていますね。

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同、聖堂の展示での写真。順路案内ですが、キリスト教っぽい趣向になっている感じです。神=作者の手が、登場人物の台詞で順路を指し示させる…というニュアンスだそうです。 と、展示員の方が言っていました。

教会・聖堂の展示は、非キリスト教徒の僕にとってはやや敷居の高いものでした。が、あまりなじみのないバンドデシネの世界の、さらに見知らぬ一端を垣間見るようで実に興味深くありました。

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そのほか、会期中は市内の書店でもサイン会、ノミネート作の特集販売などを行っていました。

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書店がテナントで入っている、市内のショッピングモール”Galerie Champs de Mars”の中の小展示。トイレへ向かう通路にまで展示せんでも・・・

アングレーム国際漫画祭、あえて公式の展示ブース以外に目を向けてみるのも、また興味深いかもしれません。特に教会・聖堂での展示は、異国の文化を直に感じられる場所として、とても面白いものでした。

バンドデシネは、とかく芸術的であるとか、テーマが深淵だとか、日本の作家にも影響を与えて…とか、何かと敷居の高いハイセンスな表現のように語られがちです。しかし、より身近な目線に立ってみれば、日本の「漫画」と同じように単にフランスの漫画であり、経験的に我々にも馴染みの深い文化である、という側面も感じる事ができるのではないか、と思います。

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アングレームで見てきた物事についての記事は、以上です。

書きたい事は全て書き、書きたくない事は一切書かないようにしました。
バンドデシネに関心を持ち、触れてみたいと思う人に、何かしか有意義なものがあればと願っています。

アングレーム国際漫画祭行ってきた(4)企画展示

引き続き、2014年度アングレーム国際漫画祭について書いていきます。

催し事である以上、物の買える場所に人が集まるのは無理のない事とは言え、折角「祭」の名のつくイベントが単なる見本市にすぎないとすれば、それは流石につまらないものです。アングレーム国際漫画祭では、毎年特定のテーマ・作家・作品を取り上げた企画展示を街中の様々な会場で催しているようです。

街中でやる理由は多分まとまった会場が取れないからだと思いますけど

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今年のアングレーム国際漫画祭では、第一次大戦開戦後100周年という事で、戦争に関わる極めて社会性の強い展示が多かったようです。その辺の詳細はwikipediaとか、公式サイトとか、フランス大使館のfacebookページあたりをご覧下さい。僕としては、自分が見ていない物事に対して語る言葉はありませんので、紹介は省略させてもらいます。

僕が見たのは二つだけ。

①”Les Legendaires”展
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Delcourt社から出ている、極めて少年漫画ぽいテイストのバンドデシネです。10周年目という事だそうで、特集が組まれていました。会場はLe Monde des Bulles2に併設されており、街中にも案内が多数表示されていました。

Legendaires こんなの。

何か一昔前のJRPGみたいなキャラです。話も実際そんな感じで、封印されていた筈の悪の魔道士を再び倒す為に仲間が集って旅に出る、という極めて王道なファンタジーものです。上の画像に写っている5人のキャラがメイン登場人物ですが、

勇者 獣人 戦士(鈍)、 魔法使い エルフ・・・と、文句の付け所のない王道のパーティー編成。左上のデブは間違い無くインペリアルクロスの先頭に置かれるタイプ。

なお上の画像では中央と周囲で絵柄も等身も大分違いますが、これは 原作とスピンオフの違いです。周囲に書いてあるちょっと大人びた絵の方がスピンオフですが、時系列的には大人びている方が何故か前で、エピソード0的な話なのだそうです。

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これが大人気なのでした。10年も続いていて、既刊16冊+スピンオフ2冊。スピンオフの1巻目は昨年の若年層向けBDの賞を受賞していたそうです。ついでに本編の方は文庫本的な再刊も始まっているようです。バンドデシネの文庫は極めて珍しいとのこと(某語学学校講師談)。

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こっちはスピンオフの方の絵柄。児童向けにしては何か雰囲気がエロいんですがそれはいいんですかね。
エピソード0な筈のスピンオフの方が大人っぽいキャラなのは、

①悪の魔道士を、”Les Legendaires”と後に呼ばれる5人組が討伐する ←スピンオフ時点
②討伐した際、最後の呪いで世界の住民が子供化する呪いにかかる
③復活しかけている悪の魔道士を再び封じるため、仲間が再び集結する ←本編開始

…という時系列を踏んでいるため、物語的に矛盾はないようです。

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展示は、全体的な世界観とキャラ紹介、あと印象的なエピソードを ネタバレ全開で 紹介してくれていました。
この画像に写っているエルフのキャラ”Shimy” (シミ-?)も、とある凄まじいネタバレ展開の後の姿を紹介してくれています。未読の子とか泣くんじゃないかコレ。

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少年漫画的ラッキースケベなシーンあり。旅の途中で仲間になったキャラ、男の子だと思ったら実は女の子でした。というシーンです。「お・・・お前、女の子だったのか!?」とか、もう日本でやったらメタなギャグです。この辺は文化が違うから、コレをもって陳腐だとかありきたりだ、とかは言えません。「いわゆる漫画的なシーン」のセルフパロディであるとも言えそうですし。

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旅の仲間との間に芽生える恋心、ただしフランス流に思いっきり音をたててディープキスをする。一番下のコマに書いてある効果音が、口を吸っている音です。 フランスの少年少女はこういうのを読んで気まずくなったり色々と目覚めたりするんですかね…(ゲス顔)

ネタバレ画像をたんまりと見てしまった結果、この作品、絵柄はなんかほのぼのしてますが、結構シビアな話が続くように見受けました。少なくとも僕が確認した限りで メイン~準メイン級ぽいキャラに死亡、失明、右腕欠損、寝返り、裏切り 以上は確定でした。 聖闘士聖矢なら失明してもすぐ小宇宙の力で復帰するやつがいましたが、このバンドデシネはそう甘くもないようで。

聖闘士聖矢の例えを出したのは、キャラデザインの一部に日本の漫画が実際に参考にされているためです。主人公ダナエルの大人時点の鎧は、白鳥座の氷河の聖衣取り入れている・・・と書いてありました。

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お約束の顔だし看板。妙に作りが細かかった。 こういうのを撮ってると、「何あのアジア人のおっさん・・・」という痛い目線がばしばしと突き刺さります。

設定は何か見慣れた感がありますが、実際結構面白そうなのです。本編とスピンオフ1冊ずつ買いました。面白かったら別途レポートします。 キャラが結構死んだりするらしいので、読んでて油断がならなそう。

②”Ernest et Rebecca”展

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Lombard社の人気シリーズであるらしい、児童、とりわけ幼児向けのバンドデシネ「エルネストとレベッカ」の特集展示をやってました。画面右のピンク髪の女の子が主人公のレベッカ、何か緑のにょろにょろのやつがエルネストです。左のナイス笑顔なおっさんは一切関係ありません。

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児童向けという事で、子供向けワークショップ会場に併設されて行われていました。場所はアングレーム市博物館、メイン会場から一番離れた所にありました。

レベッカは、病気に対する抵抗がちょっと弱い6歳半くらいの女の子。ある日風邪で熱を出してしまい、そのときに風邪菌のエルネストが見えるようになり、仲良く・・・なって・・・他の菌から守ってくれるように・・・なった、という話なんだと思います。多分。すごくあやふやなのは、展示板をじっくり読むのに差し障りがあったからです。

菌と仲良くなる、というと「もやしもん」を連想します。この作品も、菌やウイルス、ほか小さな生き物についての若干の理科的な教育要素が入っているらしいです。

会場で展示をじっくりみれなかったのは、下の写真のようにお絵かきをしている子供達がいたから。現地の子供から僕を見たら、「謎のアジア人が単身で児童向け展示を見ている」となり…何か不審者ぽいかなぁ、と思って少し自重しました。 展示は極めて真面目かつ真っ当に、作品の紹介、および作品を通じてこういうことを学んで欲しい、との内容が掲示されていました。

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細菌ってなに?とか、私たちの生活に細菌はどう役だっているの?とか、その手のちょっと科学っぽい内容です。

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子供連れの団体が結構多く、展示員が引率して案内などしていました。このバンドデシネ、絵が凄くかわいらしい。アニメとかにしたら良いんじゃないだろうか。

しっかり見てないけど写真だけ撮ったのがありました。ディズニーがフランスで刊行しているミッキー・ジャーナル(Le Journal de Micky)80周年記念展示です。市庁舎前あたりに屋外展示されていて、学生の団体とかが見てました。

ANG_ville-5 ANG_ville-4

ミッキーはあまり関心ないのです。眺めたけど読んでない。

***

以上二つ、作品の紹介としては極めて真っ当でわかりやすく、未読の僕にもどんな内容なのか(多少過剰に)よく解るものでした。 「エルネストとレベッカ」は言葉の面でも読みやすいので、仏語初学者向けには良いかもしれません。 何しろ幼児向けですし

公式の出展、企画展示で僕が見たのは以上です。あと、非公式の展示で見た内容と若干の補足を加え、アングレーム関係のまとめは終了になります。

アングレーム国際漫画祭行ってきた(3)出版社・物販ブース等

アングレーム国際漫画祭で見てきたものをまとめていきます。
実は僕自身、行く前は企画展示や講演等がメインのイベントだと思っていました。 実態としては大分違いました。

会場で最も人の集まっていたエリア、各種出版社や物販等のブースを紹介します。

(1)会場の概観はこちら
(2)展示の概観はこちら

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物販ブースは会場内に建てられた特設のテントの中に集められていた、という点は先の記事で記しました。2014年度のアングレーム国際漫画祭では、公式として以下5種類の特設テントが建てられていました。

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①Le Monde des Bulles 1(左) :出版社の展示ブースを主に集めたテント。中~大出版社。
②Le Monde des Bulles 2(右):出版社の展示ブースと、”Les Legendaires”の企画展示を集めたテント。小~中規模出版社。

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③Le Nouveau Monde:インディーズ系・個人出展のブースを集めたテント。ほぼ同人スペース規模でした

④Espace Little Asia:アジア系の出展者のみを集めた特設テント。規模は小さい。中・韓・台がメイン。日本は無いです
⑤Espace PARA BD:バンドデシネ系グッズ、複製原画、コレクション性のある古本など、関連のある物販を集めたテント。

このほか、公式ではなく協賛企業からの出展として、次の2つがありました。ただ、いずれも僕は行っていない。

L’Espace Polar SNCF:フランス国鉄(SNCF)協賛のブース。ミステリー作品の特集とミニイベント、仮装サービス等。
L’Espace Caisse D’Epargne:大手金融グループの協賛するブース。若手の創作支援・啓発…?のワークショップなど。

[Le Monde des Bulles1]
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大出版社のブースを集めたテントです。バンドデシネの主要出版社は大体網羅していました。端的に行って、漫画祭来たらこのテントだけ見るだけでも充分面白いと思います。

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各出版社には、こんな感じで壁面にシリーズを大きく取り上げています。DARGAUD社の例です

左:DARGAUD社は、邦訳もされているBLACK SADシリーズの会社です。
右:同社のブース入り口。若年層向けBDのノミネート作”Le Monde de MILO”のPR。

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大体のブースでは、作者からサイン(Dédicace:献辞)を受ける事ができます。DARGAUD社のサインコーナー。どの作者も行列が途絶えない。一人あたり10~20分(!)かけてじっくり描くため、かなりの時間待つことになりました。僕もVANYDAさんからサインをもらいました。ウヒョー

写真は、若年層向けBDのノミネート作”BATTLING BOY”の作者 Paul Pope氏。

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左:DARGAUD社のサインコーナー脇で、何かを待つ人達。多分サイン待ちの人をさらにまつ同行者か何か。
右:サイン列で、既にどこかでもらったサインを自慢しあうおっさん達。ステキです。

Dédicaceはバンドデシネのイベントでは極めて当たり前に行われる催しのようです。わざわざ自分でコマ割をあらかじめ作り、いろいろな作者に埋めてもらって即興の漫画を作る…という手の込んでる事をしてた人がいました。撮ってないけど。

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左:最大のブースの一つ、DELCOURT社とSoleilの合同ブース。あまりに混んでいた為、写真はロクに撮れませんでした。
右:同ブースの、サインのスケジュール掲示。いつ誰がいるか、という情報は現地調達が基本。

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LOMBARD社のブースです。この企業ブースは、大人向けと若年層向けを明確に分けた作りになってました。
左:大人向けのエリア。THORGAL、という名物のファンタジーシリーズ推し。
右:若年層向けエリア。企画展示をしていた「エルネストとレベッカ」他、何か可愛い絵のBDが多かった。写ってるおっさんは特に知らない人です。

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大体のブースは豊富に品揃えを置いてあり、(邪魔で無ければ)別に立ち読みしてても怒られません。まぁその辺は常識的な範囲で… しかし、大人向けコーナーと随分雰囲気が違いますね

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やはり主要出版社のGlénatのブース。Titeuf、とかLOU!とか、子供向け作品に特に有名なのが多い会社です。勿論それだけじゃないですが。
左:ブース入り口。在庫と客の量に対し会計が狭いので、かなり混みます…
右:Glénatのサインブース。何の作者がサインしているかは、この写真のように後ろに掲示してあったり、吊して示されていたり。

若年層向けのBDは、やはりなんというかMANGAっぽい絵柄になりますね。日本人には読みやすいので非常に良い。

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入り口すぐにあるCASTERMANのブース。タンタンを出してる会社です。日本人作家がいたらしいですが、見てない。
左:初日に撮った写真。平日でこの混みよう
右:同社の、”LAST MAN”のPRパネル。おっぱい。買いました。格闘バトルを扱った、すごく日本漫画ぽい作品です。

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左:Jungle社のコーナーで見つけた”Vie De Merde”という、実話系の下世話な話を集めた投稿サイト…のBD。
右:Wakfuとか展開しているANKAMA社のブース。規模の割に人が多かった。WakfuのBD、テレビ絵本とかあった。

Vie De Merdeは、訳し辛いですが「クソな人生(日々、生活)」というニュアンスです。何か日常生活でクソったれと毒づきたくなる事があった時、その体験談を投稿するサイト「VDM」があります。その漫画化です。日本なら何かコンビニとかで置いてそう。

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Gallimardのブースにて、フレデリック・ペータース氏 新作Aâmaにサインを描くの図。

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出版社のブースの他、スポンサーであるCultura(多分書店チェーン)の協賛ブースも設置されていました。ノミネート作の試読、賞への投票などが出来たようです。あと、電子書籍サービスの試用・案内も展示されていました。

左:試読コーナー。このブースに限らず、座って読めるようにしてあるブースは結構多かった。
右:ノミネート作を掲示した展示板・・・ですが、初日から何かトラブルがあったようで、直してました

[Le Monde des Bulles2]
中~小規模出版社と”Les Legendaires”の企画展示を集めたブースです。ほぼインディーズに近い会社が集まっています。たまたま1社知ってる会社がありましたが、Bulles1に比べるとぐっとマイナー寄りになり、面白みはやや薄れるかも。

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左:MAKAKA Editionのブース、サインを受け付ける作者と読者。この会社の”La vie de Norman”は中々おもしろい
右:よく知らない会社ですが、Editions de la Fibule というほぼ個人出版社のブースらしい。エルフ耳…

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このテントは、どちらかと言えば”Les Legendaires”の展示の方が人をあつめていたようです。 あと、協賛企業のソーダストリームが試飲コーナーを設置してました。僕は行ってないので何も言えない。展示のほうは別途記事にまとめます

[Le Nouveau Monde]
インディーズ系の出版社、個人の出展等をまとめたかなり雑多で玉石混交なブースでした。

ANG_expo-5  ANG_expo-19

テント内部がまっピンクで目が痛い・・ このブースの展示は、言ってみれば同人コーナーとほぼ同じ感じです。興味深い。ただ、ここで買えるような物は後で日本に帰ってから追跡できない類いの作品ばかりなので、いまいち手を出しづらい…

このテントに出ている会社は、あまり有名なものはありません。僕が知っているのはLa Balade de YAYAという作品を出している、Les Editions Fei社のみでした。 あ、何か日本人の作家が何人か出していたようでした。見てないけど。

フィンランドの漫画をPRしに来ているブース、エロティックなBDのみを出す出版社(下)など、予想外の展示が多くありました。

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Tabou BDという会社。 エロはエロですが、直球のポルノというよりはエロなコメディーが多そうな感じ。

[Espace Little Asia]
アジア系の出版社を集めたブース…なのですが、何か土産物的なグッズ販売とかも入ってて、全体的に何がしたいのかよくわからんブースでした。 韓国・台湾のブースは結構しっかりしていましたが、いかんせん訳されていない物は手を出せない。読めないし。

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左:テント外観。グッズを求めて来る人は結構多い。
右:台湾のブース。日本の少女漫画ぽい作品が多かったですね。残念ながら、あまり独自色は感じませんでした。僕はフランス語圏の作品を見に来たので、初めから対象の客ではない。

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何だこれ・・・ もはやバンドデシネも漫画も関係ないぞ

論破プロジェクトがどうのこうの、という件で引っかかる人の為に書いておきますと、日本からの公式展示なんて1件もありませんからね。あるのは、お金を払って出展枠を買った団体・個人だけ。

[ESPACE PARA BD]
複製原画とかフィギュアとか、BDに関係する物販を集めた小テント。個人的な感想としては、まぁあまり面白くない。古本を売る本屋からの出展などもありました。そういえばこういうブースはコミコンにもあったな。

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左:テント外観。極めて小規模です。
右:テントの中。あまり人も入ってなかったな…ちゃんと見てないから語る事もないのでした。

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物販ブース等は結構数が多いのですが、見るべき場所は結構限られているようです。とりあえずLe Monde des Bullesの1と2をチェックして、他の企画展示を見るついでにLe Nouveau Mondeにも寄るのが良いように思います。

先に書きましたが、会場が街全体に広がっているため、テント間の移動を繰り返すと結構足にきます。

次は、企画展示で見たものをアップします。